最初, 戻る, 進む, 最後, 目次 に行く。


A.4 共通のコマンド・オプション

ここでは、複数の CVS コマンドで共通に使用できる `command_options' について説明します。 これらのオプションは、 必ず `cvs_command' の右側に付けられます。 以下に示すオプションは、全てのコマンドで使えるわけではありません。 各オプションは、意味をなすコマンドにおいてのみ使用可能です。 しかし以下のオプションを持つコマンドがあるならば、 そのオプションは他のコマンドのものと同じ動作であると考えて良いでしょう。 (各コマンドの固有オプションのほとんどは、 他の CVS コマンドのものとは異なる意味を持っています。)

注意: `history' コマンドは例外です。このコマンドには、 ここに示す標準オプションと重複する固有オプションが多くあります。

-D date_spec
date_spec 以前のリビジョンのうち、最新のものを使用します。 date_spec には、過去の日付を示すものを一つだけ指定します。 このオプションを用いて作業ファイルを取り出すと、 指定した日付が貼り付けられます。 つまり `-D' オプションの引数が記録され、 これ以後の update の際に同じ日付が用いられます (貼り付いたタグ/日付についての詳細は 「7.4 貼り付いたタグ」参照)。 CVS では、様々な形式で日付を指定できます。 date_spec は、特に指定しない限り地方時と見倣されます。 以下に日付の指定例を示します:
                    1 month ago
                    2 hours ago
                    400000 seconds ago
                    last year
                    last Monday
                    yesterday
                    a fortnight ago
                    3/31/92 10:00:07 PST
                    January 23, 1987 10:05pm
                    22:00 GMT
`-D' オプションは以下のコマンドで利用できます: checkout, diff, export, history, rdiff, rtag, update. (history はこのオプションを少し異なる方法で 使用します。「A.10.1 history のオプション」参照。) `3/31/92' のように日付を指定した場合、 month/day/year と解釈されることに注意して下さい。 つまり `1/4/96' は 1月 4日であって、4月 1日ではありません。 シェルは空白を引数の区切りにするので、 `-D' の引数を引用符で囲むのを忘れてはいけません。 `-D' オプションを付けたコマンド行は、次の様になるでしょう:
$ cvs diff -D "1 hour ago" cvs.texinfo
-f
日付やタグ名を指定して CVS コマンドを用いた場合、 そのタグ名を持たない (その時には存在しなかった) ファイルは、 普通無視されます。 タグでも日付でも引っ掛からなかったファイルを復元したい場合に、 `-f' オプションを使用します (そのファイルの最新のリビジョンが取り出されます)。 `-f' は以下のコマンドで利用できます: checkout, export, rdiff, rtag, update. 注意: commit にも `-f' オプションが ありますが、異なる動作をします。「A.7.1 commit のオプション」参照。
-H
ヘルプです。そのコマンドで利用できるオプションを表示します。 このオプションだけが、全ての CVS コマンドで利用できます。
-k kflag
RCS のキーワード置換モードを変更します。 kflag の詳細は 「16.4 置換モード」 参照。 このオプションを用いて作業ファイルを取り出すと、 kflag貼り付けられます。 つまり、このオプションを checkoutupdate コマンドに 用いた場合、CVS は指定した kflag をそのファイルに結合します。 これ以後、同ファイルに対する update コマンドには kflag が使用され続けます。 この効果は別の指定を行なうまで止みません。 `-k' オプションは以下のコマンドで利用できます: add, checkout, diff, update.
-l
local の頭文字です。再帰的にサブディレクトリを辿らず、 カレントディレクトリでのみコマンドを実行します。 注意: `cvs_command' の左側に指定する `cvs -l' と混同しないようにして下さい。 以下のコマンドで利用できます: checkout, commit, diff, export, log, remove, rdiff, rtag, status, tag, update.
-m message
エディタを起動せず、ログ情報を message に記述します。 以下のコマンドで利用できます: add, commit, import.
-n
checkout/commit/rtag コマンド実行時に、 常には実行されるプログラムを実行しません。 各コマンド実行時のプログラムは、 管理用ファイル `modules' に記述されます (「B.1 管理用ファイル modules」参照)。 つまり、このオプションは `modules' の記述を無効にします。 注意: `cvs_command' の左側に指定する `cvs -n' と混同しないようにして下さい。 以下のコマンドで利用できます: checkout, commit, export, rtag.
-P
checkoutupdate の後、 空になったディレクトリを削除 (prune) します。 リビジョン管理下にあって、ファイルを持たない空のディレクトリは、 通常そのまま残されます。`-P' を指定すると、 このようなディレクトリがあなたの作業ディレクトリから黙って消されます。 このオプションは、リポジトリからディレクトリを消すのではなく、 あなたの作業領域からディレクトリを消すだけです。 checkoutexport`-r' または `-D' オプションを付けると、暗黙のうちに `-P' オプションが実行されることに注意して下さい。
-p
リポジトリから復元したファイルを、カレントディレクトリに置かず、 標準出力に送り (pipe) ます。 以下のコマンドで利用できます: checkout, update.
-W
フィルタを適用したいファイルを指定します。 フィルタを適用したいファイルが複数あるときは、 このオプションを何個並べても構いません。 ファイル `.cvswrappers' での指定方法と同じ形式で指定します。 以下のコマンドで利用できます: import, update.
-r tag
既定の先頭 (head) リビジョンの代りに、 引数 tag で指定されたリビジョンを使用します。 tagrtag コマンドで任意に定義されたタグの他に、 二つの特別なタグ `HEAD'`BASE' が常に利用できます。 `HEAD' は、リポジトリにある最新のリビジョンを参照します。 `BASE' は、作業コピーの由来となるリビジョンを参照します。 タグを指定して checkoutupdate コマンドを実行し、 自分の作業ファイルを作った場合、そのタグは貼り付けられます。 つまりこのタグが記録され、以後他のものを指定するまで update に同じタグが使われ続けます (貼り付いたタグ/日付についての詳細は 「7.4 貼り付いたタグ」参照)。 tag には、文字列と数字のどちらを指定しても構いません。「7.1 タグ--文字によるリビジョン」参照。 コマンド・オプション `-r' と一緒に 広域オプション `-q' を指定すると、 RCS の履歴ファイルが指定したタグを含まない場合に、 警告出力が抑止されるので便利です。 注意: `cvs_command' の左側に指定する `cvs -r' と混同しないようにして下さい。 `-r' は以下のコマンドで利用できます: checkout, commit, diff, history, export, rdiff, rtag, update.


最初, 戻る, 進む, 最後, 目次 に行く。