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B.10 管理用ファイルにおける変数展開

管理用ファイルを記述するときに、CVS の動作環境についての 色々な情報を利用したい場合があると思います。 ここでは、その実現方法を幾つか紹介します。

CVS を実行した人物のホーム・ディレクトリを (環境変数 HOME から) 参照するには、 `/' または行端の直前に `~' を記述します。 同様に user のホーム・ディレクトリは、 `~user' と記述します。 これらの変数はサーバ側で展開されるため、pserver (「4.6.2 パスワード認証による直接接続」参照) を用いる場合には正しく展開されません。 この場合、CVS を実行する人物が動作を変更できるように、 ユーザ変数 (下記参照) を用いると良いでしょう。

CVS 内部の情報を参照したい場合もあると思います。 CVS の内部変数は ${variable} という書式で参照できます。 この variable は文字で始まり、 アルファベットと `_' から構成されます。 variable に続く文字がアルファベットや `_' でない場合は、 `{'`}' とを省略しても構いません。 参照可能な CVS の内部変数には次のようなものがあります:

CVSROOT
CVS が使用中のルート・ディレクトリを示します。 ルート・ディレクトリの指定方法は、「4 リポジトリ」 参照。
RCSBIN
CVS が、RCS のバイナリを捜す時に使用されます。 指定方法の説明は、「A.3 広域オプション」 参照。
CVSEDITOR
VISUAL
EDITOR
これらは CVS が使用するエディタを示し、 全て同じ値に展開されます。 指定方法の説明は、「A.3 広域オプション」 参照。
USER
CVS を実行する人物の (CVS サーバでの) 名前に展開されます。

ユーザ変数を用いれば、CVS を実行する人物が、 管理用ファイルで用いる値を自由に設定できます。 ユーザ変数は、管理用ファイルに ${=variable} と記述します。 ユーザ変数の設定は、CVS の広域オプション `-s' に、 引数 variable=value を続けます。 このオプションは `.cvsrc' に記述しておくと良いでしょう (「A.2 ~/.cvsrc ファイルの設定」参照)。

例として、実験用ディレクトリを管理用ファイルから参照するため、 ユーザ変数 TESTDIR を用います。 `cvs -s TESTDIR=/work/local/tests' として CVS を実行し、 管理用ファイルに `sh ${=TESTDIR}/runtests' と記述した場合、 その文字列は `sh /work/local/tests/runtests' に展開されます。

`$' が上記以外の解釈を受けることはありません。 また `$' 自身を表現する別の方法も用意されてないため、 `$' という文字を引用することはできません。


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