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ATOLL


ATOLL[1][2]は、ノードに汎用のPC/WSを想定し、NIを 64bit/66MHzのPCIバスに接続する(図1)。


図: ATOLLのアーキテクチャ


ATOLLでは4つの独立したホストポートとのネットワークスイッチ を1チップ化している。これにより、複数の要求が詰まる事による性能低下を 防ぐとともに、レイテンシを改善し、また低コスト化を図っている。NIは複雑 なアドレス変換機構を持たず、プロテクションはホストCPUのソフトウェアに よるNIのコンテキストスイッチにより提供する。NIは状態を主記憶に一定時間 毎にDMAでミラーし、I/Oバス経由でのポーリングを避けている。

通信機構はメッセージパッシング型で、レイテンシを重視したPIOとバンド幅 を重視したDMAの2種を備えている。リードプリフェッチやライトコンバインに 対応し、PIOのレイテンシを低減している。

PIOによる通信は、送信側では(必要なら)NIのコンテキストスイッチを行った 後、PIOで送信データをNIに書く。受信側では主記憶上に書き込まれる状態フ ラグをポーリングし、受信を検出するとPIOでデータを読み出す。

DMAの場合は、送受信ともに主記憶上にJobDescriptorを用意し、そのアドレス をNIに通知することで、NIがそれを読みだし、DMAを起動して主記憶上のデー タの読み書きと通信処理を行う。従ってDMAを利用した場合にはレイテンシの 悪化が予想される。ATOLLでは、レイテンシが重視されるのはデータサイズが ごく小さい場合のみであるとして、そういった場合にはPIOで対応するという アプローチをとっている。




Jun-ichiro Tsuchiya 平成12年12月21日